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薩摩焼~400年を超える歴史とその美しさを紐解く

鹿児島旅行の際に訪れた「薩摩伝承館」。白水館の創業者と現社長の親子二代で集められたという名品の数々には、目を見張るものがあります。薩摩の歴史と薩摩名品の魅力を存分に堪能できる、素晴らしい美術館でした。
平等院鳳凰堂を思わせる荘厳な建物は、池の中に浮かぶようなたたずまいで、訪れる人々を魅了します。また、美しい薩摩焼の展示を通じて、その歴史と技術の奥深さに触れることができます。下記に薩摩焼の歴史を少し紐解いてみたいと思います。

薩摩焼は、鹿児島県で生産される伝統的な陶磁器で、その歴史は約400年前にさかのぼります。薩摩藩主・島津義弘が朝鮮から陶工を連れ帰り、薩摩の地で陶磁器生産を始めたことがきっかけです。その後、白薩摩と黒薩摩という異なる特色を持つ陶磁器が生まれ、日本国内外で高い評価を得ています。

薩摩焼の起源:「焼き物戦争」と呼ばれた始まり

薩摩焼の歴史は、1592年から1598年に行われた、いわゆる朝鮮出兵に端を発します。この戦で、島津義弘は朝鮮から80名の陶工を連れ帰り、彼らに薩摩藩内の各地で窯を開かせました。これが薩摩焼の誕生の瞬間です。

中でも薩摩官窯の開祖となる金海(きんかい)や朴平意(ぼくへいい)といった名工たちが、それぞれ独自の特徴を持つ焼き物を生み出しました。このようにして、薩摩焼は6種類に分かれて発展していきます。

白薩摩と黒薩摩の特徴と用途

薩摩焼には「白薩摩」と「黒薩摩」という2つの種類があります。それぞれに異なる特徴があり、用途や価値も異なっています。

白薩摩:美しさと華やかさの象徴

白薩摩は、象牙のように美しい白い陶磁器で、金彩や色彩模様が施されています。この華やかさは、江戸時代から明治時代にかけて高く評価され、1867年のパリ万博では「SATSUMA」の名で国際的に人気を博しました。

白薩摩の土は薩摩領内でもごく一部でしか採取できないため、製品自体が非常に貴重です。特に、品質の高い白薩摩は藩主や大名に献上され、「献上薩摩」として知られていました。

黒薩摩:重厚感と実用品としての価値

一方の黒薩摩は、白薩摩よりもさらに歴史が古く、主に日用品や茶器として使用されてきました。黒釉薬一色で仕上げられたその外見は重厚で、どっしりとした存在感があります。

黒薩摩の土は比較的豊富に採取できたため、庶民の日用品として広く使われました。その素朴で力強い美しさは、白薩摩の華やかさとは対照的で、日常生活に根付いた魅力があります。

世界に広がる薩摩焼の魅力

1687年、薩摩焼はパリ万博をきっかけに世界的な名声を得ました。特に白薩摩の美しい模様や金彩は欧米の市場で大変人気を集め、薩摩藩にとって主要な輸出品となりました。この時の成功が薩摩焼の地位を確立し、伝統工芸品としての価値を世界に知らしめました。

薩摩焼の未来と現代の魅力

現在も、薩摩焼は苗代川系、竪野系、平佐系を中心に生産が続けられています。伝統を守りながらも、現代的なデザインや新たな用途を取り入れることで、次世代へと受け継がれています。

また、薩摩焼は日本国内だけでなく海外でも高い評価を受けており、陶磁器ファンやコレクターに愛されています。その深い歴史と美しさを知ることで、薩摩焼の新たな魅力に気づくことができるでしょう。

まとめ

薩摩焼は、朝鮮出兵によって始まった400年の歴史を持つ伝統工芸品です。その美しい「白薩摩」と力強い「黒薩摩」の2種類が、用途や装飾の面で異なる魅力を持っています。

白薩摩の華やかさや黒薩摩の重厚感は、日本国内外で高く評価され、時代を超えて愛されています。薩摩焼の歴史や美しさを知ることのできる「薩摩伝承館」に訪れてみてはいかがでしょうか。

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